みんな知らない寝具の「歴史」

寝具は時代によって進化してきた

寝具とは、私たちが快適に就寝するのに必要不可欠なものであり、不眠症やストレスに悩む人が多い現代では、睡眠の環境とグッズにとことん、こだわる方もいらっしゃいます。寝具の主なものとして、枕、布団などが挙げられますが、どれも私たち日本人の生活スタイルの変化と密接に関わっており、時代とともに進化してきました。現代の私たちの感覚では、寝具とは、適度な弾力、柔らかさ、フィット感、保温がよいこと、外気を効果的に遮断するかどうか、清潔であるかなどが最低限に求められます。しかし、歴史を紐解いていくと、かつての寝具は、現代人から考えられないような形状、素材、使い方をしていることが分かってきました。また、日本の歴史上、中国や欧米などの影響を大いに受けてきたことが分かってます。枕、布団、ベッドの歴史は、はるか古代、人々が固有の文明を形成する前に遡ります。それは、日本で縄文時代と呼ばれる時代、世界ではそれよりももっと以前、人類が地上に生まれた時とも言えるでしょう。時代は変わっても、「寝る」という生命活動に必要な習慣は、古代からずっと変わりません。では、寝具は、歴史と共にどのような変化を遂げてきたのでしょうか。

遺跡から発見された寝具の数々

ベッドと聞くと、近代になってから、欧米諸国より入ってきたものだと思われがちですが、歴史を紐解いていくと、古くから日本でも用いられていることが分かっています。弥生~古墳時代に形成された竪穴式住居よりベッドの木幹跡が見つかっています。勿論、今のように凝った造りではなく、丸太を切っただけの簡素なもの、或いは地面から少しばかり高いところに寝ているというだけですが、ベッドの歴史とその用途としては最初に注目すべきポイントです。そもそも、地面より高いところで寝るという理由は、就寝時の快適さを保つ為ですが、昔は、水、湿気、寒さ、そして毒蛇や有害な昆虫から身を守る為であったと推測されます。その上に、イグサや藁で編んだ敷物や毛皮を敷いていたようです。枕は、木製であった事にも驚かされます。大昔は、掛布団にあたるものを「衾(ふすま)」呼んでいました。平安時代、鎌倉時代に遡ると、庶民や貴族などの暮らしぶりに、大きな差が見られます。平安時代には、畳が敷布団として使われることが多くなりましたが、畳を寝具として使えるのは、貴族のみ、一般庶民は、藁などを敷いて寝起きしていました。現在のような寝具になったのは、木綿栽培の影響が大きく、幕末あたりからだと言われています。

寝具から見てとれる人々のスタイル

寝具の中でもとりわけ枕は、睡眠の質を左右する大きな役割を持っています。では、古代の人々はどのようなものを使用していたのでしょうか。布団やベッドと同様、古代の遺跡などから、人々は就寝の際に、頭の下に石や小さく切った丸太を置いていたことが分かっています。今のような弾力性があるものとなったのは、人類の歴史から見るとごく最近のことで、江戸時代などは、箱枕と呼ばれるものが主流となっていたのです。これは、当時の人々のスタイルや生活習慣と大いに関係があると言えるでしょう。幕末までは、ちょんまげスタイルが一般的であった日本では、就寝時であっても髪型を崩さず、頭を支えることが重要でした。その為、頭全体が沈み込むようなタイプではなくて、首や頭を固定することに重きが置かれていました。枕が高いと、どうしても横向きになってしまいます。現代では頭が高いと、姿勢が曲がり、いびき、眠りの浅さに繋がってしまうと言われていますね。現在の枕のタイプになったのは、ちょんまげスタイルが廃止されてからです。西欧の文化が怒涛のように流れ込み、快適さや便利さが追求される時代となりました。寝具一つをとっても、日本人の歴史と文化、そして快適さへの追及がよく分かりますね。

あなたの眠りは寝具にかかっている?

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